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作りかけのゲームとゲーム制作の第一歩

コラム/エッセイ アナログゲーム

 昔考えて没にしたゲームとゲーム制作の第一歩についてのお話。

 こんな具合に既存のゲームについて「こういうところがつまらん」とか「こういうところが困る」と思った問題を創造的に解決するのがゲーム制作の第一歩かも知れない。少なくとも自分の場合はそうだ、既存のゲームにルールを付け加えたり変更したりすることがプレイすることと同じくらいに好きだ。

 

ババ抜きの発展系

 高校生の頃に、ババ抜きを発展させたようなゲームを考えていた。トランプで遊びジョーカーを押し付けあう基本は同じである。いわゆるゴーアウト系(*1)で、ゴーアウトの方法はオリジナルのように同じスート(*2)をペアにして捨てるのではなく、クレイジーエイトやUNOのように場札とスートか数字が同じカードを1枚ずつ捨てるルールだった。細かいルールを書いていっても仕方ないので重要な部分だけを掻い摘んで紹介しよう。
*1 大富豪やUNOのように何かしらの方法で手札を減らしていき、自分の手札を0にするのが目的のゲーム
*2 トランプのマーク

 

 まずジョーカー1枚とK2枚が必ず含まれるように手札として各7枚ずつ配る。自分のターンになるとカードを切って手札を減らしていくが、このときジョーカーはどうやっても切ることができない。QやJなど絵札には手札の一部を交換するような効果があり、これを使ってジョーカーを他人に押し付けつつ上がりを目指す。重要なのが初手に必ず含まれるKのカードだ。このカードが出た時の処理は『各プレイヤーは自分の手札から1枚を伏せて目の前に出す、Kを出したプレイヤーから時計回りに他人のカードを選び手札に加える』というもの。Kを出すと強制的にこの処理が行われるため、初手にジョーカーが来ても必ず2回はそれを他人に押し付けるチャンスがある。
 
 要はババ抜きとクレイジーエイト系を合わせてゲームが成立するように整えたようなゲームだ。中心的なメカニクスはKの処理にある、この処理でプレイヤーはジョーカーを持っていない誰かからカードを取るために『誰がジョーカーを持っているのか?』を推理しなければならない。外すと不利になり当てると有利になる。
 

独立したゲームへ

 その後これをトランプを使うのではなく専用のカードを使うゲームにしようと目論んだ。主に追加されたのはチップ制の導入である。ラウンドが終わるごとに順位に応じたチップが貰えるが、カードが持つ何かしらの効果を使用するのにもチップを支払う。『チップを多く集める』目的と『そのためにチップを払う』手段でジレンマを作ろうと思った訳で、実際のところこれは割りと上手く行った。中には「手札を増やす代わりにチップを得る」といった効果を持つカードもあり、プレイヤーの性格が露骨に出た。足を引っ張るプレイヤー、最速で上がりだけを目指すプレイヤー、そして汚い談合。
 
 ちなみに手札を増やす代わりにチップを得るカードはひたすら下方修正をする羽目になった。手札が増えることはゴーアウト系にとって非常に大きなデメリットだと思っていたが、実際は他のプレイヤーの和了りそうなプレイヤーへのいじめや、手札が少ないほどカードを切れる確率が低くなる。それに対して手札が多ければほぼ確実にカードを切れ、行動の選択肢も広い。つまり、手札が増えることはさほどデメリットにならない上に場合によってはメリットにさえなった。そのため、得られるチップがひたすら下方に修正されたというわけ。
 
 これを今のところ出す気にならないのはコンポーネントとしてチップが数十近く必要になることが一つの理由。目下の方針としてカードだけで完結しないなら敬遠している。もう一つ、重要な理由としてゲーム性が2つあるのが気になっている。このゲームは最初の時点では「誰がジョーカーを持っているのかを推測する」のが主なゲーム性だった。しかし、発展させていった結果「カードとチップのマネージメント」がゲーム性として重要視されジョーカーがおまけ要素と化した。もともと基礎のデザインとして荒削りすぎるので0から作らないと駄目だろう。

ゲーム制作の第一歩

 そもそものスタートラインはババ抜きにゲーム性を加えようとしたことだ。ババ抜きがゲーム性に欠けるのは技量や工夫が介入しないせいだ。読み合いゲームには「リターンの違う複数の選択肢」と「推測するための判断材料」が必要というのが自説で、ババ抜きはそれが非常に弱い。こういった要素を付け加えてやればゲームとして面白くなるはずだ、と考える。
 
 こんな具合に既存のゲームについて「こういうところがつまらん」とか「こういうところが困る」と思った問題を創造的に解決するのがゲーム制作の第一歩かも知れない。少なくとも自分の場合はそうだ、既存のゲームにルールを付け加えたり変更したりすることがプレイすることと同じくらいに好きだ。
 
 CIV4マルチで初心者に優しいルールだの人数が揃わない時のルール(*3)を考え、マインクラフトでマルチをすればPvPで殴りあいながらマップに配置されたカボチャをより多く集めるというゲームを開催した。M:tGでもスタン構築よりもタワーマジックや変わり種ドラフトに熱心だ。記憶を遡ると小学生の頃でさえ球技スポーツを考案して友達と遊んでいた。そう考えると今やっているゲームの制作も、小学生の頃にグランドで「ここにボールが1つあって場所がここで人数が3人だからこうやって遊ぼう!」と提案していたのと何も変わらない。
 
*3 例えばCIV4マルチはやりたいが人数が集まらない時は一時期グルメレースというルールで遊んでいた。プレイヤー同士は戦争せずAI文明だけをタコ殴りに出来る、最終的にスコアの高さで勝敗を決める。