フルハウス:ビギナー向けのビリヤードゲーム

フルハウス

 フルハウスはビリヤードをほとんど遊んだことがない人を対象とした遊び方だ。プレイヤーは2人、4色のボール2つずつと黒い8番ボールを使う。プレイヤーは同色のボール2組と最後に8番ボールをポケットへ落とす。先に8番ボールまで落としたプレイヤーが勝者となる。

準備

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 4色のボール2つずつと黒い8番ボールの合計9球を使用する。8番ボールを中心としたひし形となるようにボールを配置する。なるべく同じ色同士が接触しないように置くことが好ましい。

ゲームの進行

1.何かしらの方法で先攻と後攻を決める

2.先攻のプレイヤーがブレイクショットを行う

3.プレイヤーは同じ色の組合せになるボールを1組ずつポケットへ落とす

4.プレイヤーは交互にプレイするが的玉を落とせば続けてプレイ出来る

5.2組のボールを落としたプレイヤーは8番ボールをポケットへ落とすことが出来る

6.いずれかのプレイヤーが8番ボールを落とした時点でゲームを終え、そのプレイヤーが勝者となる

的玉

 プレイヤーは白い手玉をキューで撞いて的玉に当て的玉をポケットへ落としていく。的玉は以下の通りである。端的に書けば好きな色から1組ずつ落としていけばよい

「1球も落としていない時、あるいは1組を落とした時」
 8番ボールと対戦相手が既に1球を落としている色のボールを除く全てのボール

「既に1球落とした時、あるいは1組ともう1球を落とした時」
 既に落としている1球と同じ色のボール

「既に2組を落とした時」
 8番ボール

 

ファウル

 以下の場合はファウルとなり例え的玉を落としていてもプレイを交代し、対戦相手は手玉を好きな位置へ置いてプレイを始める

・手玉をポケットに落とした(スクラッチ)
・撞いた手玉が的玉より先に他のボールへ接触した
・相手の的玉をポケットへ落した
・その他、一般にビリヤードでファウルに当たるような行為

例外的な処理

「的玉以外を落とした」
 ヘッドスポット(ブレイクでボールを配置する場所)へそのボールを配置する。的玉以外を落とすことはファウルではないが、落としたボールが相手の的玉である場合はファウルとなる

「的玉を1度のショットで複数落とした」
 同時に複数の色を1球ずつ落としている状態になる場合のみ落としたプレイヤーが好きなボールを1球だけ選び、その他をヘッドスポットへ配置する。それ以外の状況では獲得したものとして扱う。的玉かどうかはショットの直前の状態で判断する

 例えば既に黄色の1番ボールを落とした状態から黄色の9番ボールと青の2番ボールを落とした場合、青の2番ボールは的玉ではない。黄色9番ボールは獲得したものとして扱うが、青の2番ボールは「的玉以外を落とした」場合の処理に従う。

「的玉が落ちたが同時にファウルが発生した」
 落ちた的玉をヘッドスポットへ置いて交代する。

 

(補足)
 例外処理3つが同時に発生する場合がある。自分の的玉と相手の的玉を同時に落とした場合など。この場合、ファウルが発生するので両方のボールをヘッドスポットへ置いて交代となる。

 

デザインノート

 自分はビリヤードやダーツといったゲームもよく遊ぶ。スポーツに分類されるような競技でも全力疾走せずに済むものは大好きだ。こういった競技は様々なことを教えてくれる。自分の身体を思い通りに操作する難しさ、訓練を積んでスコアが伸びる楽しさ、そして心理的な緊張が運動にどう作用するか。体を動かす競技は身体との対話である。ちなみに自分はあまり上手くない、身体に対してコミュ障だ。

 さて、多くの人は一度くらいキューを握った経験があるだろう。店舗数から言ってもボーリングと同等かそれ以上に遊ぶ場所が存在する。しかし初心者が集まってビリヤードをしても、ゲームとしての面白さを感じることは少ない。

 もちろんそれでも楽しい。幸か不幸か最初のうちは玉を突いてポケットに入れば、友達と一喜一憂出来れば、それだけで楽しい。そうした素朴な面白さのない競技が歴史に名を残すことは難しいのだ。

ナインボールの難しさ

 ゲームとしての面白さを感じることがない、とはどういうことか。問題は多くの初心者がナインボールを遊ぼうとすることにある。ナインボール自体は素晴らしい競技だ、しかし初心者には難しすぎる。簡易化したネオナインでさえ、その問題を解決はしていない。いや敷居自体は下がる、ビリヤードに慣れてきた初級者ならネオナインはエキサイティングで挑戦しがいのあるゲームだ。だが数回遊んだ程度のビギナーにはまだ少し荷が勝ち過ぎる。

 まともにナインボールを楽しむには最低限必要なスキルがある。まずキャノンやコンビネーションをある程度狙えること、もう一つは2球以上の取り切り(連続得点)が安定して可能なこと。中級者の場合なら残り2、3球となればそのままゲームが終わる可能性が十分にある。序盤であってもナインを落とせば終わる。そこに緊張感や手番の取り合いが生まれる。しかしビギナーにはそれらがない、途中までに落とす8球がほとんどゲームに関係しない。まるで一手先も読めない者同士の囲碁将棋だ。まぁ、ネオナインやエイトボールが面白いビギナー向けのゲームであっても、他にも選択肢を増やそうとする試みがあってもいいだろう。

ネクストへの誘導と適度な意思決定

 フルハウスに期待できることの1つは、ビギナーでもネクストを意識しやすいことだ。このゲームでは自分が的玉とする玉の組合せを選べる機会が2度ある。これらはわかりやすい意思決定だ、ビギナーでもちょっと考えれば両方ともなるべく取りやすい玉の組合せが好ましいと判断出来る。選択肢の価値は評価しやすく、考慮すべき選択肢は最大でも8手と限定される。

 比較するなら、エイトボールの意思決定はその球数の多さと選択肢の多さからいくらか複雑すぎる。初手と二手めに狙える的玉の組合せは最大で84通りだ。選択肢を狭めることで「どの玉を撞くか」の次にある「この玉を撞いて次はどうするか」に思考リソースを使ってもらう。ゲーム木の幅を減らすことで深さが作れるというワケ。

ビリヤード、つまりぷよぷよ

 ビリヤードは創造的な競技だ。ランダムに散らばった玉から無数の軌道や手順を考える。物理法則に基づくパズルを前に創造的な解法を捻り出すのがゲームとしてビリヤードが面白いところである。どう取り切って行くかの構想は相当に知的な作業になる。こうして対戦相手を考慮し創造的に構想と解法を考えるあたり、実質ぷよぷよと同じだと言える。ビギナーのみんなも「これを撞いたとして、その後どうするか(ネクスト)」を考えて玉を撞いてみよう。ビリヤードは十分に挑戦しがいのあるゲームだ。何故かぷよぷよと異なり大人が真剣にプレイしても悪く言われないぞ。